看板娘のおばはんを見た。

深夜三時、風俗街。風俗街の中の坂道の上で人を待っていると、突如、静けさを引き裂くような、轟音が。ゴゴゴゴゴゴっとそれが迫ってくるので、何事かとあたりを見回すと、下にローラーの付いた電飾看板が、坂道を登ってくる。道路は舗装されているはずなのに、なんという轟音か、と見ると、おばはんでした。おばはんが、看板を押していました。しかし、押す力を均等に配していないため、看板の一方が持ち上がり、もう一方を道にすりつけながら、登ってくる。轟音の正体はそれでした。看板の端をボロボロにしながらも登ってくるおばはんに戦慄を覚えつつ、看板をよく見ると、「韓国 香港 エステ」と書かれていました。おばはんの腕には、力こぶが出来ていました。無料案内所を遠い目で見ながら、気が付くと、韓国と香港のことや、おばはんの出生地について考えていました。