ありとあらゆるドーピングをして、100mを二秒くらいで走ったり棒高跳びで棒を使わず8mくらい跳躍している人間を見ている方が楽しいと思う。そのうち、どんどんマッドな様相を帯びてきて、西洋で昔から言い伝えられてきた神様みたいな姿形に人体を改造して、会場の周りをぐんぐん飛びだして、選手入場の時には、バサ〜バサ〜つって竜巻が起こるくらい羽を羽ばたかせ、地上に舞い降りてくる。観客は、顔の前で両手を合わせ、南無阿弥陀仏や法蓮華経やそれに付随する各国の言葉で言い合って、その大会をルポしたナンバーとかはもはや二十年後には古事記に匹敵する重要文献で、二十年後の柳田国男が大会にまつわる伝承を各地で拾い集めてきたりして、二十年後の吉本隆明が……。